明日と芦谷の往復書簡(仮)

明日と芦谷の往復書簡(仮)です。

嘘だと思った本当の話【明日編】

 

  1. 芦谷さんへ

 

前回はアツく語り過ぎてごめんなさい。。笑

え、地元に芦谷一人のために使えるワーキングスペースができるってことなの!?最高やんけ!!!そりゃびっくりだ。自治体のルールやお金の使い方、ようわからんですね。笑

 

本当にこのテーマ難しくて、「嘘だと思った本当の話」って結構あるんだけども、コンプラやプライバシーに引っかかるようなことばかりなんですよね。

今日はそんな中で、書いても許されるかな?くらいの濃度に薄めてちょっと書いてみようと思います。

 

2.嘘だと思った本当の話

 

ところで今更ながら、芦谷と明日の出身は「修羅の国」と名高い、某豚骨明太子県です。

明日は大学入学を機に上京したんですけど、

その時に感じた東京と修羅の国の違いをいくつかご紹介させてください。

 

※1: 読んでいただいた同郷出身の方へ。「私のところはこんなにひどく荒れてない!一緒にすんな!」とご気分を害されたら申し訳ありません。あくまで明日の個人の範囲から観測できた事象について記載しています。

 

①「シェア」の概念について

数年前から都内ではシェアサイクルという概念ができ、それを乗り回す人を路上で見かけることはかなり身近になったと思います。

また、これも数年前に、傘のシェアリングサービスもローンチされたとのことで、急な雨に降られた際にわざわざビニール傘を買わずとも、借りて他の場所に返せばいいというやつだそうです。

 

しかしわたしたちが中高生のときは、修羅の国ではこれは当たり前で「チャリと傘は天下の回り物」くらいに考えていました。嘘みたいだけど本当の話です。

俗に「窃(せっ)チャ」「傘パク」と言われ、勝手に身近なチャリや傘をレンタル感覚でカジュアルにちょいと拝借して、いらなくなったらそこに乗り捨てるなり傘立てに置き去りにするという、違法な形だったけど。笑

 

チャリに関してはかなり巧妙で、普通の自転車本体についている鍵とは別に錠前をしていてもなぜか盗まれて、生活圏外あたりで見つかり、防犯登録シールの本領が発揮されて「放置自転車が見つかりましたよ、いついつまで保管してるので早く取りに来て」との連絡が業者か警察から来ます。おそらく自転車本体についている鍵はヘアピンとかでこじあけるとして、みんな別の錠前をぶった切るためのペンチとかを日常的にポッケに入れて歩いているのだろうか?

修羅の国の近況はよく分かりませんが、なるだけ合法的シェアが根付いているといいな。笑

 

上京して自転車を買った時、2重ロックにするために外付けの錠前を買おうとしたら店員さんに「え?これ自転車本体に鍵ついてるんで大丈夫ですよ、そのもう一つの鍵は要らなくないですか?」と真剣な顔で言われ、治安の違いを感じた上京エピソードの一つです。笑

 

②男尊女卑アイランド 〜修羅の国

※2: 以下はセクハラ・パワハラ・性差別・性暴力に関わる言動の記載があります。注意してご覧ください。

 

2年程前に『82年生まれ、キム・ジヨン』という韓国の小説(映画化もされましたね)を読み、それはもううんざりする程の韓国の男尊女卑社会が克明に描かれていました。

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また、中国語のマンツーマンレッスンを受けているのですが、その先生に教えてもらった中国ドラマ『都挺好』(youtubeで見れるよ)でも、これまたうげーとなる程の男尊女卑社会が描かれていて、いくら中国語の練習とはいえ、うんざりして観る気を失うくらいです(ちなみに中国ドラマも韓ドラに負けず、一つのドラマが50エピソード近くあったりで、めっちゃ長くて観るのが大変)。

youtu.be

 

でも、修羅の国も韓国や中国とそんなに変わらんのでは?と、はたと気づきました。嘘みたいだけど、全部わたしの近辺で観測した、上の世代の人等から何の気なしに掛けられた本当の言動たちです。

 

「女の子は愛嬌がすべてよ。女の子やけん勉強できんでもいいよ、にこにこして良か旦那さんば見つければよか」

「女はどうせ家庭に入るんやけん学歴はいらん。短大か、九大に行かんね。塾には行かせられん。でも男は塾でん何でん行って、良か学校ば出らんと稼げんよ。稼げんやつは甲斐性なしばい」

「男らしく、女らしくしとかんと、みっともなか」

「男なら泣いちゃいかん。なよなよしとると気持ち悪がられていじめられるばい」

「痩せたら・整形したら可愛くなるばい」

 

盆・正月は女達は台所で必死で食事作り・配膳、男達はただどかっとリビングに腰掛けて酒を飲んでばかり。

お祭りは男達が中心、女は後方でお手伝いのみで本格的には参加できない。

 

独身だと「まだいい相手はおらんとね?行き遅れるばい、心配しとるよ。料理はできるとね?今のうちに花嫁修行ばしとかんとね」「男ば立ててやらな、女の子が勉強できてバリバリ稼ぎよったら男達は引いてしまってモテんよ」

結婚したら「結婚してお嫁に行ったら、もううちやなくて他所の人間やけん」「子どもはまだかね〜」「跡取りの男の子がいいな」「料理は上手になったね?」「良妻賢母にならんとね」

子どもが生まれたら「お母さんになったんやけん、これからは子ども中心に生きていかんとね」

 

ジェンダーバイアス」や「家父長制」という言葉も知らないであろう、修羅の国の中高年の方々は、気を抜いてみんなでお茶してる時とか結婚式の挨拶スピーチの中に、何の悪気もなく、豪速球でこんなドストレートな性別役割分業・ミソジニーホモソーシャルホモフォビア満載の性差別発言を繰り出してくるので、気を緩めてガードが下がっていたわたしは心底びっくりして、言われた瞬間はフリーズして笑って流してしまいます、本当は流していい話ではないんだけど。。「最近では〜」と話してみても、要領を得ない感じで噛み合わないまま会話が流れていってしまいます。発言者の皆さんとしては、長年正しいと思って守ってきた社会規範なのだから、それを否定されてもピンとこない人は多いと思う。でも、ちょっとは聞く耳を持っていただけたら嬉しい。

 

そういえば、亡き祖母はわたしが未就学児の頃に、喜び勇んで祖母オススメの鍋一式購入と下の名前だけの印鑑を作ってくれており、私はそれを成人を過ぎたタイミングで母から貰いました。

わたしが幼い時に亡くなり、あまり一緒に過ごした思い出がない祖母からのプレゼントということでとても嬉しかったですし、私の成長を心から楽しみにしてくれていたんだなと涙が出ましたが、冷静になると、私がちびっこの頃から嫁入り道具を準備していてくれたというのは、なんだかすごく複雑な気分です。

選択的夫婦別姓すら認められない今の日本においては下の名前だけ刻印されている印鑑は汎用性があっていいとは思いますが、もしわたしの身体が男の子として産まれていた場合、印鑑はフルネームであったのではないでしょうか。鍋一式もおそらく買っていないと思います。

 

ちなみに子ども周りの話だと、わたしはお宮参りの産衣の色の男女の違いや、お食い初めの食器が男女で違うことや、お雛様も兜を飾るのも、モヤりとした気持ちを抱いたままでいます。2歳頃になって服や遊びの趣味がはっきりしてきたら、それがどんなものごとでも全力で応援して買うつもり。

『りぼん』より『コロコロコミックス』、ごっこ遊びやお人形よりも断然遊戯王カードやポケモン、将棋、花札囲碁にハマっていた幼少期のわたしの趣味を否定せず応援してくれた両親には、その点においてとても感謝しています。

 

③男尊女卑アイランド 〜まさか、日本全体が…?〜

上京したら流石にそんな目には遭わないだろう!とたかを括っておりましたが、とても残念なことに別にそんなことはなく、わたしやその周りの友達の職場で実際にあった言動は以下のような酷いものでした。

 

「仕事し過ぎてたら子ども産めなくなっちゃうよ、子ども産んで少子化に貢献する方が人生では仕事より大事だよ」

「泣いたら「女がヒステリー起こしてる」って思われるからオフィスで泣かない方がいいよ」

「仕事頑張るよりも早く結婚して孫の顔を見せる方が親孝行だよ」

「仕事人間になると行き遅れるよ」

「女の人はどうせ子供できたら辞めるし、仕事は腰掛けでしょ」

「女の人はいいよね、仕事辞めても旦那さんに食わせてもらえるし」

育休明けに「戻ってきたばかりですぐまたいなくなっちゃうのは不便だから、次の子は数年空けてうちの部署から外に異動してからにしてね」

 

強制参加の飲み会では無料コンパニオン扱いされ、お酌してまわらされて、どうでもいい武勇伝を深夜まで聞かされまくる、接触を伴うセクハラや、執拗に部下のSNSに友達申請を送り、LINEでおじさん構文の近況報告を送りつけてくる、オフィスでも無意味に顔や頭をボディータッチされる、会社での関係悪化を恐れ断りきれず飲みの誘いに応じたら、身体を触られる、帰りに送るよと言われ断るも家を特定され危うく部屋に入られ掛けた、ホテル街に連れ込まれて走って逃げた、等々。

周りで見ていた人が第三者コンプライアンス室に電話や人事に相談するも、「被害を受けた本人からの申告が必要」とのことで、個人の特定と報復が怖くて泣き寝入りせざるを得ず、悔しい思いを何度してきたことか。

 

あー、さすがジェンダーギャップ116/146位(2022年現在)の国だわなと思いました。思わず「嘘でしょ」と言いたくなるほど酷くおぞましいものだけど、身の回りで本当にあったセクハラ・パワハラ言動です。

わたしたちの子が大きくなった頃には、この話が「嘘でしょ」と言い切れるほど、昔話になっていますように。

「わたしもこんなこと言われた、された」ということがあったら、辛くならない無理のない範囲で教えてください。この構造を再生産することなく、ハラスメントする人達はうちらの代で殲滅し、こどもたちにより良い未来を繋ぎましょう。てか社会のトレンドのSDGsの中に思いっきり一つの独立した目標として「ジェンダー平等」が掲げてあるのに、ね。

東京の(先進的な会社にいる地位と意識の高い)男の子、どうした?

 

3. 次回のテーマ

 

次は「え」ですね。

以下のうち、芦谷のお好きなものを選んでください。

 

・海老

・英雄

・宴会

・縁起

・演技

・駅

・英語

・映画

・江戸

・エラー

・エリア

・エロス

 

 

 

明日